伊東駅より山側方面へ坂道を上って行くと、曹洞宗の桃源山 松月院があります。今回はこちらをご紹介いたします。
風格ある山門

弁天沢の中腹にあり、庭は広く、整った境内がここにはあります。
松月院は寿永2年(1134年)に僧銀秀により開創されました。その後、開山台翁宗銀大和尚によって曹洞宗の寺となり、寛文6年(1666年)に当時は松原村にあった寺が大洪水により流されてしまったという歴史がありました。その後、再建を歩み、宝永3年(1706年)に現在の地に移転したとのことです。
四季折々の花木の見学もでき、先日伺った際はつつじが咲いていました。ふんわりと優しい香りが訪れる人々を包みこんでくれます。
境内には、寺の名前にもなっている松をはじめ、杉、ソテツ、椿、桜なども見ることができ、1年中どの季節に足を運んでも美しいきれいな庭と風景を楽しむことができます。
寒桜も有名なようです。桜って満開はもちろんきれいですが、風に吹かれながら散りゆく姿もまた風情がありますよね。来年は伊東駅あたりから散歩しながら訪れてみたいと、早くも来年の予定を立てたくなりました。
観音池と観音様
院内には2つの池があります。1つは昭和11年に作られた弁天堂脇、弁天池、もう1つは昭和38年に作庭された観音池です。

見事な松!現代の家の庭ではなかなかお目にかかれなくなった松。それなのにどこか懐かしく、落ち着きます。
松の立派な姿は日本人の琴線に触れる、また日本らしさの象徴の一つでもあるような気がします。

豊かな緑に囲まれた池に、まるで天から降り立ったような佇まいの観音様。赤い橋を渡りながら、また近くのベンチに座りながら拝むことができます。
境内にはまさにここに座って景色を見たい、庭を見たい、ちょっとぼーと自分時間を過ごしたい、そう思える場所、場所にご親切にベンチが置かれています。遠慮なく座らせていただき、何かを思う日もあれば、何をも考えず過ごす時間もまた贅沢です。
松月院は高台にありますので、相模湾を望むことができます。立地は申し分なく、いつでも寺を訪れた者を受け入れてくれます。
伊東七福神の弁天さん


本堂を正面から見て、左手にある赤い鳥居の先には伊東七福神の弁天さんがいらっしゃいます。
伊東七福神は市内の神社・仏閣に安置されています。各神社仏閣を参拝して七福神めぐりのお参りをすると水難・火難・盗難など7つの災害・災難が除かれ生命財産が守られて7つの幸福が授かると言われているそうです。
今回訪れた松月院に安置されている弁天さんはすべての人に愛と親切な心によって幸せを授けてくださるのだそう。願いばかりの私は、もちろんこの日も参拝しました。
訪れる度に健康だ、安全だ、と手を合わせてしまうのはご愛嬌。住所はもちろん、家族の名前も挙げて今回も手を合わせました。住所まで唱えるかは所説あるのかもしれませんが、ここは気持ちの問題です。改めて毎日のいろいろな良縁の巡りあわせを祈っての参拝でした。
松月院は年中行事、例えばお正月明けの1月7日頃は弁天様縁日や、お彼岸会などがおこなわれています。その他にも座禅会、佛教婦人会、梅花流ご詠歌も随時催されているよう。ご興味のある方はぜひお問い合わせをしてみてください。
また伊東観光協会では伊東温泉七福神めぐりと称してパンフレット、案内図も発行されています。ぜひ弁天様のみならず他の神様にもご挨拶してみてはいかがでしょうか。
宗派は関係なく、ふと思い立った時に訪れ、歴史や木々、花々の香りを楽しんだり、ただただ深呼吸をしてそこに佇んでみたり、そんな過ごし方もよいのではないでしょうか。市民に、また旅人に開かれた場所こそ本来の寺院の姿のようにも感じました。
松月院
住所:静岡県伊東市湯川377
アクセス:JR伊東線、伊豆急行線「伊東駅」より徒歩8分
TEL:0557-37-2691