誰も知らない展望台から砕ける富戸ブルーを堪能 伊東市「宇根展望台」

伊東の海沿いを走る県道109号線は、富戸周辺から海に急接近、ドライブしながら美しい海景を楽しむことができます。

その富戸の海沿いで見つけた宇根展望台は、相模湾を望む海景と岩に打ち付ける青い波を楽しめる場所です。

今回はほとんど知られていない秘密のスポット、富戸・宇根(うね)展望台をご紹介します。

富戸の海際に立つ小さな展望台

県道109号線を走ると富戸周辺で海際に出ます。そのあたりに富戸温泉という眺望の素晴らしい温泉があったのですが、先ごろ閉鎖してしまいました。

その富戸温泉から見えていた小さな展望台、いつも気になっていたのですがなかなか訪れる機会がありませんでした。写真中央に見える小さな展望台です。

先ごろ、富戸周辺で用事があったので探検してみることにしました。

県道109号から細道を行く

伊東から南へ県道109号線を走ると富戸周辺で海際に出ます。ここからの眺めは素晴らしく、ドライブでも気分が盛り上がるエリアです。

その県道109号を外れて細道に入っていきます。
かなりわかりづらい場所にあるので、後述する住所をナビに入れておいた方がいいでしょう。

細い道路が続く住宅街を抜けたところに看板が出ていました。
宇根展望台、龍宮神社、産衣石と書いてあります。この看板の矢印通りに進んでいきます。

駐車場なし 徒歩で向かうのがベター

進んでいくと舗装された道路が終わり、ここから徒歩で向かいます。
近隣に駐車場などはありませんので、車で向かう場合は駐車スペースを事前に考えておいた方がいいでしょう。

ちなみに伊豆急行線「富戸駅」から徒歩で向かうこともできるようです。その際の所要時間は徒歩約15分とのこと。
散策ついでに立ち寄るのもいいですね。

伊東に残る頼朝伝説のひとつ・産衣岩

道を下っていくと巨岩に出くわしました。「産衣石(うぶぎいし)」と書いてあります。
伊東周辺は源頼朝の伊豆流刑の地で、多くのエピソードが残っています。この石もその一つです。

頼朝は流刑になった際、伊東祐親という伊豆の豪族の娘・八重姫と恋仲になります。
その八重姫との間に子を授かるのですが、当時は平家全盛の時代です。祐親は娘と頼朝の間にできた子どもが災いを及ぼすと考えて、その赤子・千鶴丸を川に沈めてしまいます。

その千鶴丸が川を下って海に出て漂着したのが富戸で、流れ着いた千鶴丸をこの石の上に安置したそうです。
その際、千鶴丸が高価な産衣を着ていたため、この石が産衣石と呼ばれるようになったのだとか。

ひっそりとした竜宮神社

その産衣石から階段を登っていくと竜宮神社があります。
先ほどの千鶴丸を祀った神社です。

悲しい逸話のせいでしょうか、少し寂しげな神社に見えます。

富戸の海坊主伝説

そのまま道を下っていくと看板が出てきました。
「ふとの海ぼうず ひしゃくを渡すでねえぞ!」と書いてあります。

調べてみると、富戸周辺では海坊主の伝説があり海へ出た漁師に「柄杓を貸せ」と言ったそうです。ないと断った漁師は無事でしたが、柄杓を貸してしまった漁師は海坊主が柄杓で船に水を注ぎ込んで沈んでしまったそうです。

これ以来、漁師たちは海坊主に底の抜けた柄杓を貸したそうです。

ちなみに伊東市中心部にある音無神社では頼朝と八重姫の逸話が残っていて、底の抜けた柄杓を奉納し、安産を祈願するそうですがこの海坊主の柄杓も何か関係あるのでしょうか。

ひっそりと佇む小さな展望台

その看板を抜けると展望台が見えてきました。

海際にポツンと立っています。周囲はひっそりとしていて、ほとんど人もやってきません。
まさに知られざる展望台です。

目の前に広がる相模湾を堪能

展望台からはまさに絶景、相模湾の美しさを堪能できます。
右手には城ヶ崎の美しい稜線が海まで続き、正面は相模湾が大きく広がっています。

人が滅多にやってこない場所なので、静かにゆっくりと海景を楽しむことができます。

おすすめは展望台の左の入江

私が最も心惹かれたのは展望台の左側、入り江になったところです。

Vの字に抉られた岩場に波が打ち寄せています。
伊東でも富戸周辺は海の青さが際立つ場所ですが、この展望台から見る海の青さは格別です。

富戸の海の美しさを堪能できる

柵の際まで行くとより一層海の美しさが伝わります。

青い波が大きな巨岩に打ち寄せて、白く砕けてクリームソーダのような泡になっていきます。
先ほどもお伝えしましたが、本当に人が来ない場所なのでじっくりと波の美しさを堪能できます。

聞こえてくるのは波と風の音だけ、時間を忘れて波に見入っていると蝶々がやってきたり、海鳥がつがいでダンスをしたり、自然と一体になれる瞬間です。

散策で訪れるのがおすすめ

ちなみにこの宇根展望台は、城ヶ崎ピクニカルコースという海沿いの散策路の一部だそうです。
散策が好きな方にはおすすめのコースなので、歩く機会があったらぜひ立ち寄ってみてください。

富戸ブルーの美しさに魅了されること間違いなしですよ。

宇根展望台
住所:静岡県伊東市富戸474
アクセス:伊豆急行線「富戸駅」から徒歩約15分

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。