元帥の歩みに触れる歴史的建造物、伊東市「伊東東郷記念館」

東郷平八郎という名はさほど歴史好きでなくとも、耳にしたことのある名前ではないでしょうか。

かく言う私も歴史教科書程度の知識でしたが、娘とお散歩をしていたらなんとも趣のある家屋に遭遇。

東郷という名が付き記念館となれば、東郷平八郎ゆかりの場所なのかと興味が沸き、今回訪れてみました。

国の登録有形文化財にも登録

「保養地伊東の戦前の別荘として希少」という評価で、2019年12月5日に国の登録有形文化財として登録されたそうです。

表の全面道路から一歩入るとタイムスリップしたかのような空間が現れます。東郷平八郎が植えたとされる松の木に囲まれた敷地、416坪に木造平屋建瓦葺の母屋40坪と離れ木造平屋建トタン葺10坪が並んでいます。

開館は基本日曜日のみ、開館時間は10時から15時です。かなり限定的ですが開館日はこちらののぼりが目印です。

伊東自然歴史案内人会:東郷記念館部会のみなさんが東郷平八郎の生い立ちから略歴、記念館の変遷など、詳しくご説明くださるので、私のように歴史に詳しくなくとも東郷平八郎の史実はもちろん、文化財としての家屋の作りも楽しめます。

母想い植えた白梅と共に

写真左手に植えられた白梅。訪れた日は真冬につき枝木状態でしたが、早春の頃には見ごろを迎えるのではないでしょうか。

東郷平八郎の母、益子さんが白梅のように白く美しかったことに由来して植えられたそうです。東京で同居していたそうですが、保養・療養の地として建てた伊東でも母を想う気持ちが伝わりますね。

そんな東郷平八郎ですが幼少期は相当な乱暴者なやんちゃ者だったそうで、腕白小僧とも表現され、よく両親に叱られていたなんていう記録も残っていました。しかしそういう性分が日本海軍を率いた元帥、統率者に適していたのでしょう。

縁側に設置された連続のガラス障子により良く陽が入る庭に面した居間。実はこちらの建物はリウマチを患っていた妻テツのために温泉治療を願って建てられたともされる別荘です。

残念ながら完成した頃には妻テツの症状はかなり悪化していたそうで記録上での滞在は確認できないそうですが、症状の改善、緩和を願っていたに違いありません。

建物としての魅力も

昭和初期の建造物としてもとても魅力的な記念館です。
こちらは玄関の土間収納。

沓脱石(くつぬぎいし)の背、土間の腰掛の下部が収納になっています。現在の家ではなかなか見かけないですがデザイン性も実用性もあります。

こちらはガラス障子の鍵の部分。

縁側も、風呂場の扉もすべてこのデザインが使用されていました。こんな一部もレトロでかわいらしく感じました。

この他にも当時のままの裸電球や、縁側上部の木製の風通し窓、昭和初期ならではのトイレの造りなどなど見どころがたくさんあります。

囲碁が好きだった東郷平八郎は離れの間を増築し、客人と囲碁も楽しんだそうです。

こちらの間には愛用していた遺品の数々が並びます。

東郷平八郎亡き後、別荘はブリヂストン創業者の石橋正二郎へ譲渡されました。その後所有者が幾度か変わりますが、後世に残すべき大事な資産としてずっと大切に管理・保管されていたことがよくわかります。ブリヂストン社や石橋財団により「元帥がお使いになったまま釘1本変えてはならぬ」の方針がずっと引き継がれているようです。

約600分の1の縮尺で作製された三笠などの戦艦模型や、東郷平八郎の実際の音声などの展示・視聴のコーナーもあります。決して広いわけではありませんが、様々な角度から見ごたえ十分で一度は訪れてほしい伊東の歴史的施設です。

記念館の類は観光で伊東を訪れる人たちが立ち寄る印象が強いですが、住んでいるからこそ地を知る休日の過ごし方もよいのではないでしょうか。

伊東東郷記念館
住所:静岡県伊東市渚町2-48
アクセス:JR伊東線「伊東駅」より徒歩約14分
TEL:0557-37-3550
営業時間:10:00-15:00(日曜日のみ)
入館料:300円
※原則5日前の事前予約により入館可
予約等照会先:伊東自然歴史案内人会(伊東観光番)

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。